執筆者
ぶん皮膚科クリニック
院長文 省太
資格
- 日本皮膚科学会認定専門医・指導医
- 難病指定医
- 臨床検査技師
所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本皮膚悪性腫瘍学会
- 日本小児皮膚科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本皮膚病理組織学会
石灰化上皮腫は、名前が示す通り、皮膚の一部が石灰のように硬くなる良性の皮下腫瘍です。他の皮膚腫瘍と同様に、発生する原因は明らかになっていませんが、毛母腫(pilomatorixoma)という別の呼び名が表すように、毛根にある毛母細胞から発生する腫瘍と考えられています。
若い方、特にお子さんの顔(まぶた)、腕、首などにできやすい傾向があります。
ほとんどの場合は症状がありませんが、かゆみを感じたり、押すと痛んだりすることもあります。触ると表面はでこぼこしていますが、境界ははっきりしており、よく動きます。
皮膚の色は通常と変わらないことが多いですが、腫瘍の上の皮膚が薄い場合は、下の腫瘍が透けて黄白色や青黒い色に見えることがあります。
一般的に悪性腫瘍(がんや肉腫)も硬く、表面がでこぼこしていることが多いですが、悪性腫瘍は触って動かそうとしてもほとんど動かないことが多いのに対し、この腫瘍は皮膚の下で移動するという違いがあります。ただし、大きなもの、動きが悪いもの、皮膚表面が破れてしまったものなどでは、悪性腫瘍と区別がつきにくいこともあります。
診断はまず、症状から臨床的にある程度判断できます。ただし、粉瘤、ガングリオン、類皮嚢腫など他の良性皮膚腫瘍と見分けがつかない場合もあります。
ただし、石灰化の程度はさまざまで、石灰化が進んでいない場合はレントゲンに写らないこともあります。また、発生部位によっては、CTやMRIで周辺の臓器との位置関係を事前に確認する必要がある場合もあります。
石灰化上皮腫の成長速度は遅いですが、
自然に消えることはありません。
また、内服薬や外用薬、レーザーなどで腫瘍をなくすこともできません。細菌感染を起こすと赤く腫れ上がることがあります。また、すでに述べたように悪性腫瘍との区別が必要な場合もあるため、原則として手術で取り除くことが推奨されています。
手術で摘出した組織を顕微鏡で調べる検査(病理検査)を行い、確定診断をします。
摘出手術は、年齢と腫瘍のサイズにもよりますが、小学校高学年以上であれば、ほとんどの場合、局所麻酔で日帰り手術が可能です。小さなお子さんの場合や大きなものの場合には、全身麻酔が必要になります。
形成外科的な手技を用いることで、かなり目立たない傷跡にすることができます。
※ケロイド体質の方の場合、どんなに丁寧に縫合しても傷跡が赤く盛り上がってしまうことがあり、その場合は術後にケロイドの治療が必要になります。
手術により治癒が期待できます。腫瘍自体がもろいため、完全に摘出できなかった場合は再発することもありますが、その場合も再手術で根治が期待できます。この腫瘍が転移したり、生命を脅かしたりすることはありません。
これらは見た目が似ていることがありますが、異なる病気です。
皮膚の下の袋に皮脂や角質がたまったもので、黒い開口部があることが多いです。年齢や性別に関係なく、体中どこにでもできます。
皮膚の一部が石灰のように硬くなるもので、若い方に多く見られます。顔、首、腕にできやすく、大きさは0.5〜3cm程度です。開口部はなく、触ると皮下で動きます。肌の色は通常と変わらないか、黄色がかったり青白く見えたりします。
皮膚の下に脂肪細胞の塊ができたもので、40〜50代に多く見られます。背中、肩、首などにできやすく、触ると柔らかいのが特徴です。
いずれの場合も、正確な診断のためには専門医の診察と、必要に応じて病理組織検査が必要です。