執筆者
ぶん皮膚科クリニック
院長文 省太
資格
- 日本皮膚科学会認定専門医・指導医
- 難病指定医
- 臨床検査技師
所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本皮膚悪性腫瘍学会
- 日本小児皮膚科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本皮膚病理組織学会
脂肪腫とは、皮下に発生する軟部組織の腫瘍の中では最も多くみられる良性の腫瘍(できもの)です。脂肪腫には、皮下組織に見られる浅在性脂肪腫と、筋膜下、筋肉内、筋肉間に見られる深在性脂肪腫があります。普通は、成熟脂肪組織で構成される柔らかい単発性腫瘍ですが、稀に多発することがあります。
発生時期は幼少時と考えられていますが、緩徐に発育するため発見は遅く、20歳以下には稀で、40〜50歳代に多く見られます。男女比は報告により一定しませんが、女性に多いとされ、また、肥満者に多いとも言われています。
身体の各部に発生しますが、背部、肩、頸部などに多く、次いで上腕、臀部、大腿などのからだに近い方の四肢に多くみられます。顔面、頭皮、下腿、足などは比較的まれです。大きさは数mm径の小さなものから、直径が10センチ以上に及ぶものまでいろいろです。通常、痛みなどの症状は無く、皮膚がドーム状に盛り上がり、柔らかいしこりとして触れます。
診断は、医師の診察と画像検査で行います。エコー検査、CT検査、MRI検査などを用いて調べます。他の病気との区別が必要な場合もあり、悪性腫瘍との見分けが難しい時は、摘出してくわしく検査することもあります。
脂肪腫に対する治療法は手術による摘出です。
摘出術では、腫瘍の直上を、ほぼ腫瘍の直径に一致するように切開し、被膜を破らないように周囲組織から剥がして、摘出します。
摘出後は、血腫(血が溜まる)を予防するため十分に止血し、必要に応じてドレーンを挿入、圧迫固定します。
このようにして摘出した脂肪腫の再発は稀です。
脂肪腫は自然に小さくなったり消えたりすることは基本的にありません。放置しても症状が出ないこともありますが、長期間の経過で徐々に大きくなるケースがほとんどです。
痛みがなく、サイズも安定しており、悪性所見がないと医師が判断した場合には経過観察も選択肢になります。ただし、「悪性の疑い」がないことが前提になります。
脂肪腫とは皮膚の内側に脂肪細胞が増殖してできた本当の脂肪の塊で、アテロームとは全く異なるものです。脂肪腫よりアテロームのほうがよくみられるので、俗に「しぼうのかたまり」というと、正しく表現すれば「皮膚から出る皮脂や角質のかたまり」であるアテロームのほうを指してしまうことがあるようです。脂肪腫も身体のどこにでもできます。基本的に痛みなどの自覚症状はありませんが、血管成分を含む血管脂肪腫はつまむと痛いことがあります。治療は外科的に切除しますが、サイズの大きなものはMRI検査などで局在を確認してから手術を行うことがあります。