執筆者
ぶん皮膚科クリニック
院長文 省太
資格
- 日本皮膚科学会認定専門医・指導医
- 難病指定医
- 臨床検査技師
所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本皮膚悪性腫瘍学会
- 日本小児皮膚科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本皮膚病理組織学会
扁平上皮癌は、
有棘細胞癌とも呼ばれ、
日本では基底細胞癌に次いで
発生頻度が高い皮膚悪性腫瘍です。
皮膚は表皮・真皮・皮下組織という層構造で構成されていますが、扁平上皮癌は表皮に存在する表皮角化細胞という細胞が悪性増殖してできる癌です。
瘢痕や、ボーエン病・日光角化症といった癌の前段階となる病変など、表皮の慢性的な先行病変の上に生じることが多くあります。中年以降に多く発生し、皮膚や粘膜のどこにでも生じますが、特に露出部に多く現れます。
小さな結節状の病変から始まり、徐々に拡大して隆起性の腫瘤や、治りにくい潰瘍を形成します。進行すると、近くのリンパ節(所属リンパ節)や他の臓器へ転移することがあります。
臨床所見に加えて、腫瘍の一部を採取して病理組織学的に検査(生検)することで確定診断を行います。
断層超音波、CT、MRI、シンチグラムなどの画像診断を用いて、リンパ節転移および遠隔転移を調べ、腫瘍の進行度(病期)を決定します。画像診断は、原発巣の浸潤の程度を調べるためにも有用です。
治療は手術による切除が第一選択となります。病期によって、腫瘍から5mm〜3cmの正常な皮膚を含めて切除します。
腫瘍の切除後に広範囲の皮膚欠損が生じた場合には、通常、遊離植皮あるいは各種の皮弁を用いて、欠損部を被覆します。四肢の先端部の場合には、切断術や関節離断術が適応となることもあります。
腫瘍の所属リンパ節への転移が認められる場合には、原発巣の拡大切除に加えて、腋窩、頚部、鼠径部などのリンパ節を切除する手術を行います。ただし、リンパ節転移がない場合の予防的なリンパ節郭清は、一般的には行いません。
他の臓器への転移が認められる進行例に対しては、放射線治療や化学治療などを組み合わせた集学的治療が行われますが、症例によっては原発巣の切除を追加することもあります。
早期発見・早期治療が重要です。
一般的には、予後良好な早期に治療を開始できることが多く、悪性黒色腫などと比較すると、進行が遅い腫瘍といえます。
腫瘍が皮膚内にとどまっている段階で治療が行われた場合、極めて良好な結果が得られています。
しかし、腫瘍が皮膚よりも深い組織(軟骨、筋肉、骨など)まで浸潤したり、リンパ節や他の臓器への転移が認められたりする場合、予後は低下します。病期が進んだ症例では、再発や転移を生じることも少なくないため、治療後も5年間を目安に、注意深い経過観察が必要となります。
はい、扁平上皮癌はほとんどの場合治癒可能です。
特に早期に発見・治療すれば、治癒率は非常に高くなります。
全国統計の5年生存率では、腫瘍が皮膚内にとどまっている段階で治療が行われた場合、極めて良好な結果が得られています。早期発見・早期治療が重要です。気になる症状が見られたら、お早めにご相談ください。
はい、再発のリスクはあります。
特に腫瘍が大きく、進行が速い場合はその傾向が顕著です。そのため、治療後も定期的なフォローアップと経過観察が不可欠です。また、最も一般的な再発は、別の部位に新たな扁平上皮癌が発生することです。そのため、治療後も定期的な皮膚の自己検査が非常に重要です。
扁平上皮癌を予防する最善の方法は、紫外線から身を守ることです。
また、瘢痕や、ボーエン病・日光角化症といった癌の前段階となる病変がある場合は、早めに治療を受けることも重要です。皮膚に新しい斑点や変化がないか注意深く観察し、気になる症状がある場合はお早めに日本皮膚科学会認定専門医を受診してください。当院でも日本皮膚科学会認定専門医が在籍しておりますので、お気軽にご相談ください。